バセドウ病|江戸川橋駅前内科・甲状腺クリニック|江戸川橋駅の内科・甲状腺の内科・糖尿病内科

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バセドウ病

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バセドウ病とは

バセドウ病は、甲状腺を刺激する物質(TSHレセプター抗体:TRAb)が体内で生成され、この物質が甲状腺を勝手に刺激して、甲状腺が甲状腺ホルモン(FT4、FT3)を過剰に合成・分泌する病気です。甲状腺ホルモンが過剰になる為、代謝が高まり(亢進する)、これにより様々な症状が現れます。日本では約1000人に5人程度認められる割と頻度の高い病気です。また患者さんは男性より女性の方が多く(男性:女性=1:5-10)、妊娠可能年齢の20-30歳代に多く認められます。

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バセドウ病でよくある症状

バセドウ病の語源であるバセドウ氏が勤務地のMerseburgで報告したこの病気の特徴、びまん性甲状腺腫、頻脈、眼球突出をMerseburgの3徴と呼びます。

  • 暑がりになって汗をかきやすくなった(多汗)
  • 手が震える(手指振戦)
  • よく食べているのに体重が減る(体重減少)
  • 動悸や息切れがする(頻脈)
  • イライラし易く怒りっぽくなった(易怒性)
  • 目が出てきて目つきがきつくなった(眼球突出)

バセドウ病の原因

甲状腺を勝手に刺激してしまう自己抗体(TRAb)がバセドウ病を引き起こします(自己免疫疾患)が、この自己抗体ができる原因は詳しくは分かっていません。遺伝的なものに加えて、ストレスや過労などの環境要因が関わっていると考えられています。妊娠や出産など自分の免疫状態が大きく変化するタイミングで発症する例もあり、また花粉症などのアレルギー疾患の増悪時にひどくなることもあります。

バセドウ病の検査・診断

バセドウ病の診断では以下の検査を行い、結果を総合的に判断したうえで診断します。

  • 触診(のどを触って甲状腺の腫れをチェック)
  • 画像診断(超音波検査など)
  • 血液検査で甲状腺ホルモン(FT4、FT3)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を調べる
    (バセドウ病の場合FT4・FT3値は高値になり、一方で下垂体から分泌され甲状腺を刺激するTSH値は、血液中に甲状腺ホルモンが過剰にあるために低値となります(ネガティブフィードバック)。)
  • TSHレセプター抗体(TRAb)の有無を調べる
    (採血で血液中にTSHレセプター抗体(TRAb)が有るか無いかを調べ、有る場合はバセドウ病であるとほぼ診断出来ます。)

バセドウ病の治療

治療は大きく分けて、薬物療法、放射性ヨウ素(I-131)内用療法(アイソトープ療法)、外科的手術(甲状腺摘出術)の3つがあります。多くの場合、まず、抗甲状腺薬による薬物療法が行われます。薬物療法を2-3年以上継続しても薬を中止できる目途が立たない場合には、アイソトープ療法や甲状腺摘出術など他の治療法も検討していきます。

薬物療法

甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬を定期的に服用することで、過剰となっている血液中の甲状腺ホルモンの量を正常にする治療です。最も一般的な治療方法で、この治療を始めてから1~3か月で甲状腺ホルモンが正常になる方が多いです。甲状腺ホルモンの値によっては抗甲状腺薬の他に、甲状腺ホルモンの分泌を抑制する無機ヨード(KI)を併用する、またKI単独で治療することもあります。抗甲状腺薬の副作用として、発疹、かゆみ、肝機能障害などがあります。ごく稀(出現頻度0.5%程度)ではありますが、起きると重篤となる無顆粒球症(白血球の中で好中球という血球の数がゼロに近くなる)という副作用もあります。好中球は外敵のウイルスや細菌から体を守る働きをしているので、これがゼロになると、時に死亡に至る重症感染症に罹る可能性が有ります。

この発症は抗甲状腺薬の内服開始から3か月以内に約80%、4か月以内に約90%であり抗甲状腺薬を開始してから最初の3-4か月は特にまめな定期受診が必要です。2-3週間ごとの通院と血液検査を受けることにより、この副作用を早期に発見・予防することが可能です。抗甲状腺薬のなかでプロピルチオウラシル(PTU:チウラジ-ル/プロパジール)では、特にその内服期間の長期化により、血管に炎症(血管炎)を引き起こす抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)という物質が血中に産生されることがあります。これにより実際に血管炎(薬剤誘発性抗好中球細胞質抗体関連血管炎)が起こる頻度は4-6.5%程度とあまり高くはありませんが、中には重篤となる場合もあり定期的に検査でその存在の有無を確認することが大切です。無顆粒球症やMPO-ANCA陽性となった場合、原則的には薬物療法を中止します。

アイソトープ
(I-131)療法

抗甲状腺薬による治療の効き目が芳しくない場合や、副作用が強く出てしまう場合に選択されることがある治療法です。甲状腺は無機ヨウ素(I)(ヨード)を器官内に取り込み、このヨウ素(ヨード)から甲状腺ホルモンを合成します。そこで放射線(β線:ベータ線)を出す性質をもったヨウ素(放射性ヨウ素:I-131))のカプセルを外来通院で飲むことで(バセドウ病ではホルモン合成が過剰に起きているため内服したヨードの大半が甲状腺内に取り込まれ他臓器に運ばれにくい)ホルモンを産生する甲状腺の細胞を体内で破壊し(I-131のβ線は体内で1mm程度しか飛ばず他臓器損傷はほぼ無い)、甲状腺ホルモンの合成・分泌量を抑えます。妊娠中・妊娠の可能性のある患者さん、授乳中の患者さんには行うことができません。

アイソトープ治療により甲状腺は破壊される為治療効果の出る投与量を投与すると、治療後年数が経つにつれて甲状腺の働きが低下する(甲状腺機能低下症)人が増えてきます(晩発性機能低下症:投与後10年で約40%、20年で約60%程度の人に起こります)。機能低下症になった場合甲状腺ホルモン製剤を1日1回、毎日内服する必要があります。アイソトープ治療は甲状腺を破壊し容積を小さくするだけでなくバセドウ病の原因物質であるTSHレセプター抗体(TRAb)を低下させ免疫学的にもバセドウ病は治っている(緩解)というのが私の学位仕事でした(PMID:7621571)。当院では設備が無く施行出来ませんが希望する患者さんへは可能な施設を紹介させていただきます。

外科的手術
(甲状腺摘出術)

甲状腺の全部(全摘術)若しくは一部を残して(亜全摘術)甲状腺を外科手術によって切除する治療法です。特に甲状腺の腫れがひどい(大きな甲状腺腫)場合や、抗甲状腺薬による効き目が芳しくない場合、副作用が強く出てしまう場合に選択されます。アイソトープ療法と同様、抗甲状腺薬治療よりも短期間での治療が可能であり全摘術後は再発もしない方法ですが、入院が必要です。何れの術式でも将来的に甲状腺機能低下症を引き起こしてしまうリスクがあり、外科的な治療の為のどに小さな傷が残ります。

バセドウ眼症とは

バセドウ病に伴う眼病変であり日本人ではバセドウ病の約30%程度に生ずるとされています。眼球突出(Merseburgの3徴)や、眼を動かす筋肉である外眼筋という筋肉の肥大による眼の調節障害:物が二重に見える(複視)、斜視などが起こってきます。TRAbや外眼筋に対する抗体など自己免疫機序が原因と考えられていますが詳細は不明です。多くが機能亢進症と同時期に発症しますが、眼症のみ6か月程度先行あるいは遅れて発症することもあり注意が必要です。悪化因子に喫煙があり眼症のある患者さんでは禁煙が重要です。

妊娠一過性甲状腺機能亢進症(GTH)とは

妊娠すると子宮に胎盤が形成されここからヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されます(妊娠判定試験キットに利用されているホルモンです)。hCGは形がTSHと似ているため甲状腺を刺激する作用があります。このhCGが盛んに分泌され高値となる妊娠初期にバセドウ病と同様の症状、検査所見を示すことがあり妊娠一過性甲状腺機能亢進症と呼ばれています。妊婦さんの1.5-3%に認められるとの報告もあり割と多い病態です。バセドウ病とは異なりTRAbは陰性で、ほとんどが治療を必要とせず大半が妊娠中期には正常となります。

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