糖尿病の原因
糖尿病の原因
日本では95%以上の糖尿病患者さんがこのタイプに当てはまります。
以下に挙げたものが引き金となってインスリンの分泌が低下したり、インスリンがうまく働けなくなること(が発症の主な原因となります)。
2型糖尿病は初期の段階では自覚症状がまったくないことが多いですが、慢性高血糖が進むにつれて、口渇(血糖値300-400mg/dl以上のことが多い)・多飲・多尿・体重減少などの典型的な症状や「糖尿病合併症」が進行することによる様々な症状があらわれてきます。
すい臓のインスリンを作っている細胞(β細胞)が破壊されることによってインスリンが作れなくなってしまうことが原因の糖尿病です。その機序は正確には解明されておりませんが、遺伝因子やウイルス感染が引き金となり、何らかの免疫異常が体に起こり、免疫反応が正しく働かなくなり、自分で自分の細胞を攻撃してしまうこと、つまり「自己免疫」が関わっていると考えられています。自己免疫が起きている証拠のひとつが、自分の体に対する抗体、自己抗体(抗GAD抗体・IA-2抗体など)が血中に存在します。
1型糖尿病は病気が進んでいくとインスリンがほとんど作れない状態となり、生きるために注射でインスリンを補う治療が必須となります(このような状態をインスリン依存状態と言います)。1型糖尿病はさらにこのインスリン依存状態になるまでのスピードによって、「劇症」「急性発症」「緩徐進行」に分類されます。
わずか数日間のうちにインスリンが作れなくなってしまう、最も急激に進行するタイプです。すぐにインスリン治療を開始しないと、命に関わる非常に危険な状態になります。発見された時点で血糖値が非常に高いことがほとんどですが、発症が急激であるので、1~2か月前の平均血糖値を知る指標であるHbA1c値は正常範囲か軽度高値程度であることも特徴です。劇症1型糖尿病では自己抗体(抗GAD抗体・IA-2抗体など)が認められないことが多いです。
1型糖尿病で最も頻度の高い典型的なタイプで、糖尿病の症状が出はじめてから数か月でインスリン依存状態(血糖をコントロールするのにインスリン注射が必須となる状態)になります。インスリン治療を始めた後に、残存していたすい臓の機能が一時的に回復し、インスリン治療が不要にみえる時期(ハネムーン期)がある患者さんもいますが、この効果は続いても数か月程度であり、その後は再びインスリン治療が必要となります。血液検査で自己抗体(抗GAD抗体・IA-2抗体など)を認めることが多いです。
年単位でゆっくりとインスリン分泌が低下していくタイプです。発症(診断)後10年以上たってもインスリン依存状態まで進行しない例も存在します。初めは2型糖尿病のようにインスリン注射を使わなくても血糖値をコントロールすることが可能ですが、血液検査で自己抗体を検査したところ陽性であり、実は緩徐進行1型糖尿病だった、というようなケースがしばしばあります。緩徐進行1型糖尿病の場合、もしインスリンを作る力がそれなりに残っていたとしても、すい臓に負担をかけるような内服薬は推奨されず、それ以外の内服薬を選択したり、場合によってはインスリン治療を早い段階から行い、すい臓を保護することが望ましいといわれています。
1型糖尿病の症状は通常突然あらわれます(急性合併症といわれます)。主な症状は以下の通りです。これらがさらに進行すると呼吸困難や吐き気・おう吐などが起こり、昏睡状態に陥るなど非常に危険な状態になることもあります。